痛めつけあう男と男の見苦しさ
カナダのバンクーバー近郊を流れるアダムス・リバーの4年に1度の風物詩、サーモン・ラン・・・・・・などの映像を見たことがあるという人は多いのではないでしょうか。
って、いいますか、鮭の遡上というのは、とってもポピュラーです。よね?
産卵のために母川(ぼせん)を遡上する鮭の大群・・・・・・ソコには戦いがあります。自然との、天敵との、仲間との。
ほん-のう【本能】動物が生まれながらにもっている性質や行動力・・・・・・ってこれかしらん? とか、エロスとタナトスが表裏一体である・・・・・・ってマジなんだわ! とか、思ったりしませんか???
父はアダムス・リバーに出掛けたことがあるようですし、ヨン兄さま(某韓流俳優に似ていないこともない、上品な雰囲気の実兄)は東北地方で暮らしていたとき、某川へ見に行き、
「途中で捕まえるなんて残酷だ」といいながら「新巻鮭、送っておいたから。まあ、なんていうかすごいよ。鮭の遡上は」って。Yなど、いつだったかTVを見てて、感動のあまり涙しておりました。・・・・・・そして、ドイツもコイツもこういうのです。
「たった一発のために、ココまでやるんだ・・・・・・(絶句)・・・・・・」
わたし、自分が♀鮭だったら、途中で熊に食われちゃってると思いますぅ・・・・・・。(←やる気なし)
初老のベストセラー作家ワイクと彼の妻の若き浮気相手マイロが壮絶な駆け引きを繰り広げる映画・・・・・・などと紹介される『スルース』(2007)。その戦いは、鮭の遡上を髣髴とさせる。
・・・・・・まあ、聞いてください。
母川の河口で自己紹介しあった二尾は、上流を目指します。軽く体を合わせ、ヒレで小突きあったりしながら。血統の良さ、財力がウリの鮭アンドリュー・ワイクと、何よりも若さと美貌がウリの鮭マイロ・ティンドル。第一ラウンドは、滝登りのジャンプでワイクがタイミングよくティンドルを叩き、ティンドルは流れから跳ね上げられてしまう・・・・・・ってカンジ。です。
この戦いの面白いところは、最初の目的・・・・・・ワイクにとっては妻の愛人を追い払うこと、ティンドルにとっては恋人からその夫を切り離す(離婚させる)こと・・・・・・が、「単なる目的」に成り下がり、戦いそのものが目的となるといったところではないでしょうか。
アマゾンの映画の紹介では、二人の男の知性と理性がぶつかりあう・・・・・・などとの文字が躍りますが、わたしは、ワイクとティンドルに知性を感じませんでした。非理性的で感覚的にして、原始的。本能を駆使して戦っているようにしか見えません。鮭ワイクと鮭ティンドル・・・・・・なのです。
この映画は、痛めつけあう男と男の見苦しさを堪能すべき映画で、とっても下品です。
大体、遡上する鮭の群れなんて、オンナノコ的には気持ち悪くもあります。自然を盛り込んだ映像、静かなナレーションと情緒をあおるBGM、カメラ・ワークと編集のおかげで美しくも果敢なレースに見えるだけで、LIVEで目撃しようものならグロテスクだったりするでしょう。
だけど、まあ、エロスにしろタナトスにしろ、究極の下品にして、時に高尚で洗練された至高の美であるわけで、危険な戦いに没頭してしまう♂の原始的な魅力(しかも、飛切の美貌の俳優が演じている)に、こういうのもありかしら・・・・・・と、感銘を受けたのでした。
<オススメ度:★★☆☆☆:♂の生態観察にうってつけ>
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